2010年02月 アーカイブ

2010年02月20日

京都に水族館はいりません

 オリックス不動産株式会社が京都に内陸型の水族館をつくろうとしています。
 京都のみなさん。それ以外の京都を愛する皆さんも。私は「京都に水族館はいりません」と(できれば)Twitterに毎日書きます。賛同してくださる方はご一緒に。

 私は京都で生まれ育ちました。子どものころは東山の麓が遊び場でした。そこでの体験や人々との出会いから「環境共育」を仕事にすることし、16年が経ちました。

 「水族館」の建設予定地になっている「梅小路公園」は1994年「全国都市緑化フェア」の会場として整備され、その後都市公園として開園しました。西の端にこどものプレイパークの一角があるのですが、「全国都市緑化フェア」期間中の市民ボランティアのマネジメントが私の担当業務でした。毎日梅小路に出勤してました。懐かしい場所です。この「全国都市緑化フェア」のスタッフとして参加していたときのこと。大雨が降ると地面に水たまりができて水の引きが悪いのです。あのあたりは地下水位が高く、昔は「セリ」の栽培をする芹田がたくさんあったという話を関係者から聞きました。そんな地下水の豊富な土地だから、大量の水を必要とする蒸気機関車の車庫があそこにつくられたという話もあわせてききました。
 こうしてその土地の自然史と人間の持続可能な利用について学び、未来を創るのがほんとうの「環境教育」です。

 この水族館の計画には「子どもたちへの環境教育」という文章があります。
 大量の電気を使用した人工海水の水槽で、遠い海から魚類や海のほ乳類を捕まえて運んでくるのです。まともな環境教育者はそんなことは決して考えないです。海の環境教育は海でやります。
 そして人工海水は梅小路の豊富な地下水に塩をまぜて作ろうということでしょうか。使用した人工海水はどう処理するのでしょう。鴨川に流すのですか。いずれにせよ大量のエネルギーを投入しなければいけない話です。

 こんなものをわざわざつくって運営すること自体が環境に悪いし、そして単なる「思いつき」で「環境教育」などど計画に書き入れていることに憤りを感じます。

 アメリカ・カリフォルニアの「モントレー湾水族館」は好きで2回行きました。ジャイアントケルプの繁るモントレー湾に面して、水族館の屋外デッキからは海面に浮かぶラッコの姿が見えます。海を背にして、解説員によるプログラムが行われていました。梅小路に水族館ができたら、東寺の五重塔と新幹線が見えるでしょう。ここで解説員は何を語るのでしょう。あるいは窓やデッキ、テラスのない建物で外界と完全に遮断するかでしょうね。

 それから「海が無いから水族館が必要なのだ」という理屈があるそうです。これは「京都には熱帯雨林がないから人工熱帯雨林館を」、「京都には氷河がないから人工氷河体験館を」、「京都には砂漠がないから人工砂漠体験館を」、「京都にはロケット発射場がないからロケット発射場を」、「京都には土星がないから…」、「京都には銀河系がないから…」、「京都にはタイガーウッズがいないから人工タイガーウッズを」、きりがありませんね。水族館と一緒に「オリックス不動産」が全部引き受けて、どうぞ京都市民を楽しませていただければと思います。

 さいごに、都市公園の歴史は英国のように王様から市民に下されたもの、ニューヨークのセントラルパークのように市議会での決定を経て作られたものなど様々ですが、19世紀の息苦しい都市化の進行のなかで人間らしく生きたいと願う市民が獲得した民主主義の成果そのものです。
 あの広々とした梅小路公園の一角をコンクリートの箱モノが占有するのは、市民が獲得した民主主義の成果の否定。都市のなかでも自然と共にあって人間らしく生きたいと願う市民の否定に他なりません。それは愚挙や蛮行としか言いようがありません。

 計画は即刻破棄し、外来の関係者の方々は京都を去ってください。市政関係者は市民の気持ちに向き合い、自分の人生でなすべきこと、してはいけないことをよく考えてください。

                                       環境共育事務所カラーズ 代表 西村仁志

(この文章は書き換えアップデートすることがあります。)