2003年12月02日

「冒険図鑑〜野外で生活するために」

「冒険図鑑〜野外で生活するために」さとうち藍文 松岡達英絵 福音館書店

 アウトドアばやりの昨今、キャンプやハイキング、野外料理などのいろんな入門書が出ている。しかしこの本が出てから、いまだこれを超えるものには出会っていない。
 この本を購入した頃、私はYMCAの職員として小学生の野外活動クラブを担当しており、この本をテキストにして子どもたちは服装や装備の知識を学び、そして彼らは実際に野外でさまざまな体験をするなかで生きる知恵を獲得していったのである。
 この本はこども向けにも文章が平易で、写真ではなく松岡氏のイラストがとてもわかりやすい。そして「歩く、食べる、寝る、作って遊ぶ、動植物と出会う、危険に対応する」など野外での基本的な行動についての知恵が網羅されている。「アウトドア」をファッションではなく、野外で楽しく安全に生活することととらえているために、書かれている内容は20年近く経ってもまったく陳腐化していない。これは名著であると断言できる。
 某女子短大で「自然活動学」という講義を担当していた。彼女らに、今までのアウトドア体験を聞いてみるとほとんどの学生がキャンプやハイキング、飯盒炊さんなどを「学校行事」としてしか体験していないという。お粗末とは言わないが「可哀想な体験」であるといわざるを得ない。教育改革の流れの中で文部科学省も「野外教育」に注目している。教室を出て自然の中で「何を」「どのように」学ぶのかまだまだ未整理のままであるが、こんな本をテキストに自然を体験する豊かな機会をこどもたち、そして大人にも用意してあげたいものである。そしてこの本も一家に一冊、常備をお勧めする。

投稿者 nishimura : 2003年12月02日 21:49