役に立たないフリーランスの話 その9.アメリカへ

 昨年は数えてみるとアメリカに4回渡った。ハワイに1回、カリフォルニアに3回だ。遊びに行っていると見られても仕方がないのだが、自分の中ではすべて必然性があって、時間をつくって出かけている。そういう意味では「しごと」と言えなくもない。

 最初にアメリカ大陸に足を踏み入れたのはYMCAを辞めた直後だった。3月31日付で退職して、4月2日にはもうアメリカに向かう機上の人になっていた。「環境教育で飯が食いたい」と漠然と思っていても、具体的な仕事のイメージが湧かないので、先進地訪問ということでアメリカに出かけたのである。ニューヨーク州キャッツキルの山中にある広大な環境教育施設フロストヴァレーYMCAに1週間滞在して、プログラム、施設、指導者、そしてこれらの基である組織の理念に触れたのである。それまで漠然と思っていたものが彼の地では社会のなかで具体化されて動いているのを目の当たりにし、これは日本でもあり得ると思った。自分の目指すべき仕事が明確になったのである。

 旅の終わりには、京都から移民してサンフランシスコで小売業のコンサルタントをしている従兄を訪ねた。自宅の一室をオフィスにしてもう何年もここで仕事をしている。そんなワークスタイルと出会ったのものも刺激だった。

 これはきっとモノにできる。そんな予感を持って3週間のアメリカの一人旅から帰ってきた。なけなしの退職金をつぎ込んだ価値は大いにあった。(その残りは和代が冷蔵庫を買い換えて消えた。)

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