Colors of Nature

オヤジ大学院生として学ぶ(6)

今里先生の「ソーシャル・イノベーション研究コース」の「魅力ある大学院イニシアティブ」応募の話は、ちらっと聞いていたかもしれませんでしたが、まさか後々に自分に関わってくる話とは考えも及ばすでした。一大学院生としては自分の目の前の研究、修士論文のことを進めないといけません。
入学時は漠然と、自分のやってきた環境教育関係の仕事、国や自治体と進めてきた環境意識の普及啓発、人づくり等の仕事などのことを研究論文としてまとめたい位の漠然とした考えしかありませんでした。(「そんな簡単なことじゃない」というのは今更思います。)
今里先生の講義「公共政策論ー現代社会起業論」や公共の哲学を取り扱った「公共性論」、「海外政策事情−市民社会とガバナンス−」での英書購読(John Ehrenberg著Civil Society: The Critical History of an Idea『市民社会—苦難の歴史を歩んだ思想』)、そしてゼミでの発表や議論を通じて「行政なんぞに頼ってばかりではなく、これからは市民が実力をつけて、社会の問題解決の主役になっていかんとあかん」というマインドを叩き込まれることになります。
というわけで、自分のやってきたこと、つながってきた人々やテーマを考えて、「自然学校」のことを取り上げて修士論文を書こうと考えました。
「自然学校」とは、「自然の中で教育活動を展開する団体や拠点」、「自然体験学習を主とした学び舎」で、1980年代から日本各地につくられはじめていました。
関係者のネットワークもあり、私自身も京都からその末席に連なっていましたので、北海道から九州、沖縄までたくさんの自然学校経営者と出会い、また一緒に仕事をしてきたのでした。ほんとうにユニークで個性的な方々ばかり(自分もそう言われていますが)で、こういう繋がりから拓いていく新しい教育のかたち、新しい仕事のかたち、そして新しい地域づくりのことを論文に書いていきたいと思ったわけです。
そして「自然学校」のことを書いている研究論文はまだほとんど見当たらないことも分かりました。「自然体験学習」のもつ意味や具体的な方法論についての研究は既に教育学や身体運動学の領域からすすめられてきていて、環境教育学会や野外教育学会の方面で成果がみられるのですが、「自然学校」は日本のなかでどのように生まれ、発展してきたのか、社会にどのように役に立つのかという政策モデルとしての研究はほとんどされてこなかった訳です。
そして、ありがたいことに私はこの研究を進める上でのポテンシャルが高い。
仕事場の未整理資料の山を掘り返しさえすれば、このネットワーク関係の資料(報告書、ニュースレター等)が20年分位出てくるし、主要な関係者へのヒアリングの約束はメールや携帯電話一本だけで依頼とアポイントメントが完了する。
わざわざ会いに行かなくても、一緒にやる仕事や出張のついでに60分の時間をいただければヒアリングが出来たりもするわけです。これはオヤジ社会人大学生の大きな強みでした。(続)